……そうしてそれに似た或る思い出をこんどはさっきと異って、鮮明に私のうちに蘇らせるのであった。
……十年ぐらい前の或る夏休みに、私が初めてこの村へ来た時のこと、宿屋の裏から水車場のある道の方へ抜けられるようになっている、やっと一人だけ通れるか通れない位の、狭い、小さな坂道を上って行こうとした途中で、私はその坂の上の方から数人の少女たちが笑いさざめきながら駈け下りるようにして来るのに出遇った。
私はそれを認めると、そういう少女たちとの出会は私の始終夢みていたものであったにも拘らず、私はよっぽど途中から引っ返してしまおうかと思った。