……その二人が中庭を立ち去ってしまった跡も、私はしばらく、今しがたまでその少女が向日葵のように立っていた窓ぎわの方へ、すこし空虚になった眼ざしをやっていたが、ふと気づくと、そこいらへんの感じが、それまでとは何んだかすっかり変ってしまっているのだ。
私の知らぬ間に、そこいら一面には、夏らしい匂いが漂い出しているのだった。
その日の夕方の、別館の方への私の引越し、(今まで私の一人で暮らしていた、古い離れが修繕され始めるので――)その次ぎの日の、その少女の父の出発、それから他にはまだ一人も滞在客のないそんな別館での、その少女と二人っきりの、背中合わせの暮らし……。