その有益な材を抱いて奔走に、六十円に、月々を衣食するに、甲野さんは、手を拱いて、徒然の日を退屈そうに暮らしている。
この書斎を甲野さんが占領するのはもったいない。
自分が甲野の身分でこの部屋の主人となる事が出来るなら、この二年の間に相応の仕事はしているものを、親譲りの貧乏に、驥も櫪に伏す天の不公平を、やむを得ず、今日まで忍んで来た。
その有益な材を抱いて奔走に、六十円に、月々を衣食するに、甲野さんは、手を拱いて、徒然の日を退屈そうに暮らしている。
この書斎を甲野さんが占領するのはもったいない。
自分が甲野の身分でこの部屋の主人となる事が出来るなら、この二年の間に相応の仕事はしているものを、親譲りの貧乏に、驥も櫪に伏す天の不公平を、やむを得ず、今日まで忍んで来た。