実際私自身にもこんな風に私たちの歩いている山径の見当がちょっと付きかねていたのだけれど、私はわざとそれを冗談のように言い紛らわせていたのだった。
――その日、私が私の「美しい村」の物語の中に描いた、二人の老嬢たちのもと住まっていた、あの見棄てられた、古いヴィラの話を彼女にして聞かせると、それをしきりに見たがったので、私自身はもうそんなものは見たくもなかったのだけれど、その荒れ果てたヴェランダから夕暮れの眺めがいかにも美しかったのを思い出して、夕食後、ともかくもそのヴィラまで登って行ってみることにした。
恐らくあの家はまだあのまんまになっているだろうと予想しながら。