……なんだかごたごたした苦しい夢を見たあとで、やっと目がさめた。
目をさましながら、私は自分の寝ている見知らない部屋の中を見まわした。
見たこともないような大きな鏡ばかりの衣裳戸棚、剥げちょろの鏡台、じゅくじゅく音を立てているスティム、小さなナイト・テエブルの上に皺くちゃになって載っている私のふだん吸ったことのないカメリヤの袋(私はそれを何処の停車場で買ったのだか思い出せない)、それから枕もとに投げ出されている私の所有物でないハイネの薄っぺらな詩集、――そう云うすべてのものが、ゆうべから私の身のまわりで、私にはすこしも構わずに、彼等の習慣どおりに生き続けているように見えた。