やっとのことで再び姿を現わしたボオイの跡にくっついて食堂の中へはいってみると、食堂と云うのもほんの名ばかりであって、二つの部屋をぶち抜いて、そこに安っぽい花模様のあるクロオスを掛けた卓子が五つか六つ置いてあるきりだった。
中央の大きな卓子にはホテルの主人夫婦が珈琲を飲んでいた。
そうして向うの壁ぎわの隅の小さな卓子には、青色のブラウスを着て、ブロンドの髪をした十八九の娘がひとりと、それから中庭に面して一段低くなったヴェランダのようなところに卓子が二つ置いてあったけれど、その一つには、黒っぽい着物を着たふたりの女――栗色の髪をして綺麗に化粧した二十七八の若い女と老眼鏡をかけたその母親らしいのが差し向いで食事をしていた。