床におろしてやると、私の足へ身をすりよせるようにして、ついてくるのだ。
すこし邪魔っけになって、私はその猫を足で向うへ押しやりながら、自分の部屋にはいろうとしてそのノッブに手をかけた拍子に、ひょいと薄ぐらい廊下の突きあたりを見すかすと、其処に、二階への階段へちょっと片足をかけたまま、ぼんやりした人影がこちらへ顔を向けながら突っ立っているのに気がついた。
それは女にはちがいないが、その顔は電燈の片光りを浴びて、へんに無気味な凸凹をつくっているので、それが少女の顔なのか年よりの顔なのか私にはどうしても識別できなかった。