私がそのホテルのことを写生した「旅の絵」という短篇の中にも登場をするが、そのホテルに一人の美しくなったり、醜くなったりする、変な少女がいて、或る晩十二時過ぎに私がそのホテルに帰って来たら、私の部屋に面している薄暗い廊下のはずれに、そこに二階へ通ずる階段があるのだが、その階段へ片足をかけながらその少女が寝巻のまま立っていて、部屋へ這入ろうとしかけていた私の方をじっと見ている。
……その時突然、この夢が私のうちに蘇ったのだ。
私は気味悪くなって、それっきり自分の部屋に這入ってしまったが、その夢の中では私はもっと大胆だった。