そこに私達は五年ばかり住まっていたけれど、その家のことも、ほんの切れ切れにしか、いまの私には思い出せない。
が、その頃の事は、その家ばかりではなく、私に思い出されるすべてのものはいずれも切れ切れなものとして、そしてそのために反ってその局所局所は一層鮮かに、それらを取りかこんだ曖昧糢糊とした背景から浮み上がって来るのである。
私のごく幼い頃の、父の姿も、母の姿もあんなによく見慣れていた癖に、少しもはっきりと思い出せない。
そこに私達は五年ばかり住まっていたけれど、その家のことも、ほんの切れ切れにしか、いまの私には思い出せない。
が、その頃の事は、その家ばかりではなく、私に思い出されるすべてのものはいずれも切れ切れなものとして、そしてそのために反ってその局所局所は一層鮮かに、それらを取りかこんだ曖昧糢糊とした背景から浮み上がって来るのである。
私のごく幼い頃の、父の姿も、母の姿もあんなによく見慣れていた癖に、少しもはっきりと思い出せない。