が、それを好いことにして、私がだんだん父の膝を離れて、他の弟子たちの前まで出かけて行き、そこいらの押木の上に乱雑に積んであるものなどを手あたり次第にいじくり出していると、「こら、坊主……」とこんどは父に叱られて、すぐ私はその細工場から追い出されてしまうのだった。
が、その細工場じゅうに何処とはなしに漂っていた金屑のにおいなしには、もはや自分の幼時を思い出せない位、私はいつかそれ等のにおいを身につけてしまっていたのだった。
が、あんまりちょいちょいその細工場へ行ったりすると、私はしまいには其処にあるものをいじくらないように、見本にきている綺麗な外国製のゴム人形などをあてがわれた。