そうしてそのために其処へ身をひそめただけで、もう目頭が一ぱいになって来るのを、やっと怺えながら、垣根の向うの、一面に雑草の茂った空地を、何か果てしなく遠いところのものを見ているかのように見ていたりした。
或る日なんぞは、そういう自分の目の前に女の子のもつ手毬くらいの大きさの紫いろの花がぽっかりと咲いているのに気がついたが、すぐそれへは手を出さずに、ひとしきり泣いたあとで、漸っと許されたように、それをおずおずと掌にのせて弄んだりしていたこともある。
(註二)
そうしてそのために其処へ身をひそめただけで、もう目頭が一ぱいになって来るのを、やっと怺えながら、垣根の向うの、一面に雑草の茂った空地を、何か果てしなく遠いところのものを見ているかのように見ていたりした。
或る日なんぞは、そういう自分の目の前に女の子のもつ手毬くらいの大きさの紫いろの花がぽっかりと咲いているのに気がついたが、すぐそれへは手を出さずに、ひとしきり泣いたあとで、漸っと許されたように、それをおずおずと掌にのせて弄んだりしていたこともある。
(註二)