それから、もう一人の色つやの悪い、痩せた、貧相な女の子の姿が、その傍らに色褪せて、ぼおっと浮ぶ。
それからその幼時の私のたった二人っきりの遊び相手だった彼女たちと、庭の無花果の木かげに一枚の花莚を敷いて、その上でそれ等の赤まんまの花なんぞでままごとをしながら、肢体に殆どじかに感じていた土の凹凸や、何んともいえない土の軟か味のある一種の弾性や、あるときの土の香りなどまでが……
そうして私はそういうとき、自分の前に、或時はすっかり冬枯れて、ごつごつした木の枝を地中の根のように空へ張っていた、――或時は円い大きな緑の木蔭を落して、その下で小さい私達を遊ばせていた、一本の無花果の木をありありと蘇らせる。