私はもうお竜ちゃんやたかちゃんの事なんぞはどうだって好いと思いながら、自分がそれまで彼女等から受け取っていたすべてのものを、自分の大好きなあの無花果の木に――それだけがまだそっくり以前のまま私のまえに残されている一本の無花果の木に、求めようとし出していた。
「お母あさん」と或る日私は庭の中に母と二人きりでいるとき問うた。
「おうちの無花果はいつ実がなるの?
私はもうお竜ちゃんやたかちゃんの事なんぞはどうだって好いと思いながら、自分がそれまで彼女等から受け取っていたすべてのものを、自分の大好きなあの無花果の木に――それだけがまだそっくり以前のまま私のまえに残されている一本の無花果の木に、求めようとし出していた。
「お母あさん」と或る日私は庭の中に母と二人きりでいるとき問うた。
「おうちの無花果はいつ実がなるの?