そのまたずっと彼方の、地平線の方には、二人のまだ見たこともないような大きな入道雲が浮び出していた。
(実はさっき野原を横切っているときから二人には気になっていたのだった……)それが、いま、極めて無気味な恰好に拡がって、もうずっと遠くになった硝子工場の真上に覆いかぶさろうとしているところだった。
さっきから二人を脅かしつづけていたもの、やっとのことで二人がその兇手から逃れ出してきたものが、いまや、もう二人が追いつきようのないほど遠ざかってしまったものだから、やむを得ずにとうとうその正体を現し、そんな凄じい異形をそこでし出してでもいるかのように、二人には見えるのであった。