そのあいだ、小さな私は、自分の前に起っている自然の異常な現象をまだよく判断する力もないのに、それに対してただ一人ぎりで立ち向わせられていたのだった。
そのとき、その縁先きまで押しよせてきている黝い水や、その上に漂っているさまざまな芥の間をすいすいと水を切りながら泳いでいる小さな魚や昆虫を一人で見ているうちに、ふと私の思いついたものは、こないだ買って貰ったばかりの新しい玉網だった。
そんな小さな魚や昆虫がそういう得体の知れないような黝い水の上をも、まるで水溜りかなんぞのように、いかにも何気なさそうに泳いでいるのを見ているうちに、それら小さな魚や昆虫のもっている周囲への無関心さとほとんど同様のものが私のうちにも自然と生じてきたのかも知れない。