そうして一度無性に怯え出してしまうと、幼い私のなかの、大人の恐怖は、もう私一人だけでは手に負えなかった。
一方、いままではちゃんと間を隔いて鳴っていた近所の半鐘の方も、そのとき突然自分の立てつづけている音に怯え出しでもしたかのように、急に物狂おしく鳴り出していた。
それを聞いて一層私が怯えるので、最初は父は溝の多い路地を抜けたところまで私達に附添ってくる積りだったのに、とうとう母と、佐吉に背負われた私とについて、全く水の無くなる土手上まで来なければならなかった。
そうして一度無性に怯え出してしまうと、幼い私のなかの、大人の恐怖は、もう私一人だけでは手に負えなかった。
一方、いままではちゃんと間を隔いて鳴っていた近所の半鐘の方も、そのとき突然自分の立てつづけている音に怯え出しでもしたかのように、急に物狂おしく鳴り出していた。
それを聞いて一層私が怯えるので、最初は父は溝の多い路地を抜けたところまで私達に附添ってくる積りだったのに、とうとう母と、佐吉に背負われた私とについて、全く水の無くなる土手上まで来なければならなかった。