そこに私達が何日ぐらい、或は何箇月ぐらい泊っていたか、覚えていない。
それからその家の主人の、「きんやさん」といつも私の父母が親しそうにしていた大旦那のことも、それから私達の世話をよくしてくれたそのお内儀さんのことも、殆ど私の記憶から失われている。
それからもう一人、――たとえ偶然からとはいえ、私が自分の人生の或物をその人に負うているのに、いつか私の記憶から逸せられようとして、あやうくその縁に踏み止まっているといったようなのは、その日々私をたいへん可愛がってくれた店の若衆の一人だった。
そこに私達が何日ぐらい、或は何箇月ぐらい泊っていたか、覚えていない。
それからその家の主人の、「きんやさん」といつも私の父母が親しそうにしていた大旦那のことも、それから私達の世話をよくしてくれたそのお内儀さんのことも、殆ど私の記憶から失われている。
それからもう一人、――たとえ偶然からとはいえ、私が自分の人生の或物をその人に負うているのに、いつか私の記憶から逸せられようとして、あやうくその縁に踏み止まっているといったようなのは、その日々私をたいへん可愛がってくれた店の若衆の一人だった。