私はそれがどういうドラマチックな要素をもった美しさであるかを知らない内から、その異常な美しさそのものに惹かれ出していた。
後年、私は何度となくそれと類似の絵双紙を見、それを愛した。
そうして私もだんだん大きくなり、それの劇的要素が分かるようになりだした頃には、そのときはもう私は、――それが何んの物語を描いた絵だかもさっぱり分からずに見入りながら、しかも一種の興奮を感ぜずにはいられなかった、――そういうはじめてそれを手にしたときの幼時の自分に対するなつかしさなしには、その物語を味われなくなっていた。