私は、いま、この幼年時代について思い出すがままに書きちらした帳面を一先ず閉じるために、私がもう十二三になってから、本当に思い設けずに、その昔の小さな家を偶然見ることになった一つの揷話を此処に付け加えておきたい。
その頃私たちの同級生に、緒方という、母親のいない少年がいた。
級中で一番体が大きかったが、また一番成績の悪い少年だった。
私は、いま、この幼年時代について思い出すがままに書きちらした帳面を一先ず閉じるために、私がもう十二三になってから、本当に思い設けずに、その昔の小さな家を偶然見ることになった一つの揷話を此処に付け加えておきたい。
その頃私たちの同級生に、緒方という、母親のいない少年がいた。
級中で一番体が大きかったが、また一番成績の悪い少年だった。