それは履物に畳表を一枚々々つける仕事だった。
――その家というのもほんの名ばかりのような小屋から、もと私達の住んでいた母屋とその庭は、高い板塀に遮られて殆ど何も見えなかった。
唯、その板塀の上から、すっかり葉の落ちつくした、ごつごつした枝先をのぞかせているのは、恐らくあの私の大好きだった無花果の木かも知れなかった。
それは履物に畳表を一枚々々つける仕事だった。
――その家というのもほんの名ばかりのような小屋から、もと私達の住んでいた母屋とその庭は、高い板塀に遮られて殆ど何も見えなかった。
唯、その板塀の上から、すっかり葉の落ちつくした、ごつごつした枝先をのぞかせているのは、恐らくあの私の大好きだった無花果の木かも知れなかった。