私はその老人が何も言わずに気むずかしげに仕事をしつづけているのに気がねしながら、縁側に倚りかかって、緒方の出してきた袋の中から自分のもらうベイを選んでいる間も、絶えず隣りの家に気をとられていた。
そのときの私のおずおずした目にも、それはまあ何んとうす汚れて、みじめに見えたことか。
それは私が緒方にさえもその家が昔の自分の家だったことを口に出せずにいた位だった。
私はその老人が何も言わずに気むずかしげに仕事をしつづけているのに気がねしながら、縁側に倚りかかって、緒方の出してきた袋の中から自分のもらうベイを選んでいる間も、絶えず隣りの家に気をとられていた。
そのときの私のおずおずした目にも、それはまあ何んとうす汚れて、みじめに見えたことか。
それは私が緒方にさえもその家が昔の自分の家だったことを口に出せずにいた位だった。