何處が似てゐるかといふと、モオリアックの事をすこし詳しく書かなければならなくなりますが、まあ、一口に言へば、モオリアックといふ作家は、「とぐろを卷いてゐる蝮の群のやうな」神を見失つた人間どもの悲慘を描いて、逆説的に神のない世界の暗さを示さうとする(モオリアックはカトリックであります)作家であります。
さういふモオリアックは、それ等の悲慘な作中人物どもの上に何處からともなく徐々に一條の神々しい、「冬の光線」に似た痛々しい光線を浴びせかけて行くのでありますが、その作品からカトリック的な要素を一切除いてしまつたら、そこには室生さんと大へん似通つてゐる一人の西洋の作家がゐるやうな氣がするのです。
又、モオリアックはかういふことを言つてゐます。