室生さんは何か悲しいことでもあると、その悲しみそのものを樂しまれようとする――さういふ二つの相反した感情が絶えず室生さんの心のなかでは微妙な均衡をすこしも危なげなしに得てゐる。
若し發狂したらといふやうなことでも、室生さんは眞面目に考へられてゐるのだが、同時にさういふ空想をも何處かで樂しまれてゐるやうなところがある。
さういふ微妙な精神的均衡を、私は室生さんのなかに發見する時くらゐ、私達の生きることのよさをしみじみと感じることはないのだ。
室生さんは何か悲しいことでもあると、その悲しみそのものを樂しまれようとする――さういふ二つの相反した感情が絶えず室生さんの心のなかでは微妙な均衡をすこしも危なげなしに得てゐる。
若し發狂したらといふやうなことでも、室生さんは眞面目に考へられてゐるのだが、同時にさういふ空想をも何處かで樂しまれてゐるやうなところがある。
さういふ微妙な精神的均衡を、私は室生さんのなかに發見する時くらゐ、私達の生きることのよさをしみじみと感じることはないのだ。