ことに心衰へた日などには、庭のリラの木を「よろよろしてゐる自分をやつと支へてくれるこの世の唯一のもの」のやうに抱擁したりした。
姉のユウジェニイとの間の文通はいよいよ頻繁になり出した。
弟思ひのユウジェニイが、さうやつて巴里にひとり暮らしながら怏々としてゐるらしいモオリスの心を慰めるために、をりをりの手紙を書くだけでは物足らなくなつて、ケエラに於ける彼女たちの日々を丹念に日記に書きはじめたのも、その頃(一八三四年の秋)である。
ことに心衰へた日などには、庭のリラの木を「よろよろしてゐる自分をやつと支へてくれるこの世の唯一のもの」のやうに抱擁したりした。
姉のユウジェニイとの間の文通はいよいよ頻繁になり出した。
弟思ひのユウジェニイが、さうやつて巴里にひとり暮らしながら怏々としてゐるらしいモオリスの心を慰めるために、をりをりの手紙を書くだけでは物足らなくなつて、ケエラに於ける彼女たちの日々を丹念に日記に書きはじめたのも、その頃(一八三四年の秋)である。