弟思ひのユウジェニイが、さうやつて巴里にひとり暮らしながら怏々としてゐるらしいモオリスの心を慰めるために、をりをりの手紙を書くだけでは物足らなくなつて、ケエラに於ける彼女たちの日々を丹念に日記に書きはじめたのも、その頃(一八三四年の秋)である。
また一方、ブルタアニュを去つてからも折をりの考へを書きつづけてゐた「日記」の筆をモオリスが遂に投じてしまつたのも、その頃である。
(一八三五年九月)しかし、だんだん巴里の生活にも馴れてきたのみならず、或日再會したバルベイ・ドオルヴィリとの新しい交友は、この絶望した青年の上には非常な效果があつた。