朝のうちは此処にいると本当に気もちが好い。
すぐ向うに古い松の木のこんもりした低山があって、それが一めんに日をいっぱい浴びながら、その何処かしらにいつも深い陰をひそませている具合、――そのなんともいえない幽けさがいくら見ていても倦きないのです。
病中、室生さんから「つくしこひしの歌」をいただいて、気分のいいときに拾い読みした短篇中の心にしみたかずかずの情景が、此処にこうしていると、何か目前に彷彿として来てならないのも、それとこれとに一味通じあった一種の翳りのようなもののあるためかともおもえるような、けさは静かな朝です。