「……この御堂が本当に好きですので、こうして雪の深いなかに一人でそのお守りをしているのもなかなか愉しい気もちがいたします。
「あなたが自分のまわりに孤独をおいた日々はどんなに美しかったか、僕はそれを羨むことでいまを築いているといったっていいくらいです……」と、そんな事を若い詩人の立原道造が盛岡への一人旅から私達のところに書いてよこしたのは、彼が亡くなる前年(一九三八年)の秋だった。
――そのときはもう私はそのような孤独ではなく、その春さりげなく結婚をして、しかしその年もやはり軽井沢の山中で秋深くなるまで暮しつづけていた。