坂口安吾
終戦後二年目の八月十五日のことであるが、伊豆の伊東温泉に三浦按針祭というものが行われて、当日に限って伊東市は一切の禁令を解除し、旅館や飲食店はお酒をジャン/\のませてもよいし、スシでもドンブリでも何を売ってもよろしい、という地区司令官の布告がでたという。
戦争以来伊東へ疎開している彫刻家のQから速達がきて、右のような次第で、当温泉は全市をあげて当日を手グスネひいて待ちかまえて、すでに今から活気横溢しているほどだから、当日の壮観が思いやられるではないか。
坂口安吾
終戦後二年目の八月十五日のことであるが、伊豆の伊東温泉に三浦按針祭というものが行われて、当日に限って伊東市は一切の禁令を解除し、旅館や飲食店はお酒をジャン/\のませてもよいし、スシでもドンブリでも何を売ってもよろしい、という地区司令官の布告がでたという。
戦争以来伊東へ疎開している彫刻家のQから速達がきて、右のような次第で、当温泉は全市をあげて当日を手グスネひいて待ちかまえて、すでに今から活気横溢しているほどだから、当日の壮観が思いやられるではないか。