文豪用例帳

作家別 名言・名文

坂口安吾の名言・名文

坂口安吾は、戦後の焼け跡で人々の手がかりとなる評論を書いた作家である。新潟に生まれ、既成の道徳や体裁を疑う目を持ち続けた。太宰治らとともに「無頼派」と呼ばれる。

敗戦の翌年に発表した『堕落論』では、人は堕ちるところまで堕ちて、そこから自分の生き方を見つけ直すほかない、と説いた。小説『白痴』もほぼ同じ時期の作である。

坂口安吾 1906–1955
無頼派の作家・評論家。既成の道徳や価値観を鋭く批判する評論で知られる。代表作に評論『堕落論』、小説『白痴』など。

名言・名文

なぜなら人間の心は苦難に対して鋼鉄の如くでは有り得ない。坂口安吾『堕落論』 心の窓はかくしきれない。坂口安吾『街はふるさと』 誰かが楽しい時にはきっと誰かが悲しんでると見てもよろしいぐらいですよ。坂口安吾『安吾人生案内』 すぎた悲しみというものは問題にする必要がないものだね。坂口安吾『安吾の新日本地理』 花は咲けども実のらぬ悲しさを伝えたものであろうか。坂口安吾『肝臓先生』 悪人の心は悲しいものである。坂口安吾『我が人生観』 人は孤独で、誰に気がねのいらない生活の中でも、決して自由ではないのである。坂口安吾『日本文化私観』 まったく、思いだしてみると、孤独ということがただ一筋に、なつかしかったようである。坂口安吾『日本文化私観』 けれども、この孤独は、いつも曠野を迷うだけで、救いの家を予期すらもできない。坂口安吾『文学のふるさと』 その夜にもし電燈の光といふものがなければ、人間は暗闇と孤独のために悶死するかも知れない。坂口安吾『ヒンセザレバドンス』 しかし、これほど低能でも、自分を孤独とみる悲しさがあるのは、人間というものは切ないものだ。坂口安吾『安吾人生案内』 けれども彼は心に暗黒の涙を流した。坂口安吾『吹雪物語』 不覚にも、僕は、涙が流れた。坂口安吾『古都』 唄には全然感動しなかったが、あの真剣な気魄には、私は思わず涙が溢れた。坂口安吾『安吾の新日本地理』 愛し合ふ男女は、愛情のさなかで往々二人だけの特別の世界に飛躍して棲むもの。坂口安吾『阿部定さんの印象』 恋愛はよこしまなものにきめられていて、清純な意味が愛の一字にふくまれておらぬのである。坂口安吾『恋愛論』 恋愛の情は同じ一つの狂気とは云え、あの人と私の心は同じものではなかった。坂口安吾『三十歳』 我々の愛が始まるときには必ず愛情のさめる日を意識しなければならないのだ。坂口安吾『吹雪物語』 私は今こそあなたを愛すことができると信じられるようになったのです。坂口安吾『ジロリの女』 人生は短し、芸術は長し、それは勝手だ。坂口安吾『私は誰?』 これからは自分が生きて、自分が何かをつかむのだ。坂口安吾『決闘』 人間は生きることが、全部である。坂口安吾『不良少年とキリスト』 夢が人生を殺したのである。坂口安吾『牧野さんの祭典によせて』 生きるためにはぬるま湯に限るものだ。坂口安吾『中庸』 生きてみせ、やりぬいてみせ、戦いぬいてみなければならぬ。坂口安吾『不良少年とキリスト』 お金が山とあっても死にたい時に人は死にます。坂口安吾『裏切り』 死んでしまえば人生は終りなのだ。坂口安吾『教祖の文学』 性格は我々にとつて宿命的なものではない。坂口安吾『吹雪物語』 生きることには値打があるが、死には一文の値打もない。坂口安吾『牧野さんの死』 運命にまかせるか、完全にねじふせるか、である。坂口安吾『武者ぶるい論』 目をつぶれば、あとにとまらぬ美しさである。坂口安吾『木々の精、谷の精』 人間はどこで何をしている方が幸福だという定まった場所があるわけではない。坂口安吾『街はふるさと』 女房のカツレツを満足して食べ、安眠して、死んでしまう方が倖せだ。坂口安吾『青春論』 幸福な一対に限って、時に大紛争を起しがちなものです。坂口安吾『街はふるさと』 人間の幸福はそんなところにはない。坂口安吾『魔の退屈』 特に幸福な人間も、特に不幸な人間も、いるものか。坂口安吾『街はふるさと』 言葉を改めようという努力などはミジンも必要ではない。坂口安吾『敬語論』 言葉というものは、つくす方がよろしい。坂口安吾『安吾巷談』 絵は言葉によって語るものではなくて、色によって語るものだ。坂口安吾『安吾巷談』 人間世界の悲しい心のかもしだす様々な絢はなくなるのだ。坂口安吾『吹雪物語』 運命に従順な人間の姿は奇妙に美しいものである。坂口安吾『堕落論』 自分自身が一時間後にどんな運命になるか、誰も知ってやしない。坂口安吾『水鳥亭』 いつも気のつくのが手おくれだから、仕方がなかったという彼の悲しい運命なのである。坂口安吾『安吾の新日本地理』 ほんとうのことというものは、ほんとうすぎるから、私はきらいだ。坂口安吾『恋愛論』