現在の日本人は日本国人で、国によって対立しているが、明治に於ける非藩人の如く、非国民となり、国家意識を破ることによって国際人となることが必要で、非国民とは大いに名誉な言葉であると称している。
これが彼の世界聯邦論の根柢で、日本人だの米国人だの中国人だのと区別するのは尚原始的思想の残りに憑かれてのことであり、世界人となり、万民国籍の区別など失うのが正しいという論である。
一応傾聴すべき論であり、日本人の血などと称して後生大事にまもるべき血などある筈がない、と放言するあたり、いささか鬼気を感ぜしむる凄味があるのだが、私の記憶に誤りがなければ彼の夫人はイギリス人の筈であり、日本人の女房があり、日本人の娘があると、却々こうは言いきれない。