鞍馬先生は追分の下宿を二室占領して数千巻の書籍と共にくすぶっていたが、朝になると、大概脱脂綿にアルコールをしめして、丁寧に本を拭いていらっしゃる。
というのは、最近鞍馬先生に夢遊病の症候が現れて、先生は夜中無意識のうちに歩行し、最も貴重な本箱に向って放尿し、またお眠りになる。
そこで先生は毎朝目を覚して仰天し、アルコールで本をふく始末になるのであったが、夢遊病はとにかくとして、貴重な書物に放尿するに至っては、どうにも悲痛なことである。
鞍馬先生は追分の下宿を二室占領して数千巻の書籍と共にくすぶっていたが、朝になると、大概脱脂綿にアルコールをしめして、丁寧に本を拭いていらっしゃる。
というのは、最近鞍馬先生に夢遊病の症候が現れて、先生は夜中無意識のうちに歩行し、最も貴重な本箱に向って放尿し、またお眠りになる。
そこで先生は毎朝目を覚して仰天し、アルコールで本をふく始末になるのであったが、夢遊病はとにかくとして、貴重な書物に放尿するに至っては、どうにも悲痛なことである。