いつでも死ねる、と一口に言ってしまえば簡単だけれども、そんな覚悟というものは一世紀に何人という小数の人が持ち得るだけの極めて稀れな現実である。
常に白刃の下に身を置くことを心掛けて修業に励む武芸者などは、この心掛けが当然有るべきようでいて、実は決してそうではない。
結局、直接白刃などとは関係がなく、人格のもっと深く大きなスケールの上で構成されてくるもので、一王国の主たるべき性格であり、改新的な大事業家たるべき性格であって、この稀有な大覚悟の上に自若と安定したまま不良無頼な一生を終ったという勝夢酔が例外的な不思議な先生だと言わねばならぬ。