それに、信念などというものがなくとも人は生きていることに不自由はしないし、結構幸福だ、ということになってくると、信念などというものは単に愚か者のオモチャであるかも知れないのだ。
実際、信念というものは、死することによって初めて生きることが出来るような、常に死と結ぶ直線の上を貫いていて、これも亦ひとつの淪落であり、青春そのものに外ならないと言えるであろう。
けれども、盲目的な信念というものは、それが如何ほど激しく生と死を一貫して貫いても、さまで立派だと言えないし、却って、そのヒステリイ的な過剰な情熱に濁りを感じ、不快を覚えるものである。