昭和十二年の初冬から翌年の初夏まで、僕は京都に住んでいた。
京都へ行ってどうしようという目当もなく、書きかけの長篇小説と千枚の原稿用紙の外にはタオルや歯ブラシすら持たないといういでたちで、とにかく隠岐和一を訪ね、部屋でも探してもらって、孤独の中で小説を書きあげるつもりであった。
まったく、思いだしてみると、孤独ということがただ一筋に、なつかしかったようである。
昭和十二年の初冬から翌年の初夏まで、僕は京都に住んでいた。
京都へ行ってどうしようという目当もなく、書きかけの長篇小説と千枚の原稿用紙の外にはタオルや歯ブラシすら持たないといういでたちで、とにかく隠岐和一を訪ね、部屋でも探してもらって、孤独の中で小説を書きあげるつもりであった。
まったく、思いだしてみると、孤独ということがただ一筋に、なつかしかったようである。