僕達は一時間ぐらい廃墟をうろついていたが、見張の人は番所の前を掃いたりしながら、僕達がそっちを向くと、慌てて振向いて、見ないふりをしていたのである。
僕達は刑事になりすまして、大本教の潜伏信者の様子などを訊ねてみたが、馬方は泥酔しながらも俄に顔色蒼然となり、忽ち言葉も吃りはじめて、多少は知らないこともないけれども悪事を働いた覚えのない自分だから、それを訊くのだけは何分にも勘弁していただきたい、と、取調室にいるように三拝九拝していた。
宇治の黄檗山万福寺は隠元の創建にかかる寺だが、隠元によれば、寺院建築の要諦は荘厳ということで、信者の俗心を高めるところの形式をととのえていなければならぬと言っていたそうである。