あやかさんという人は一人の男ぐらい屁とも思っていないので、世界中の男が、つまり自分のよりどり随意の品物に見えるというような楽天家じゃないかと私は思う。
土居光一がミウケ代と称して二十万円を請求した時には大いに誇りを傷けられて、まったくこういう楽天的な麗人は男なんか屁とも思わぬくせに、小さなことでひどく誇りを傷けられ無性腹を立て、ゲキリン、復讐、復讐もしなかったけれども、大変な見幕で怒ったもので、ひどい喧嘩別れをしたという話であった。
そのことを私が言うと、土居光一はゲラゲラ笑って、バカな、喧嘩なんて、男同志だって結局仲直りのチャンスじゃないか、男と女の喧嘩なんて、他人同志なら元々喧嘩なんかしやしないや。