実際はあやか夫人に惚れすぎているからのことであるが、こうなると、浮気みたいなものがしてみたいような気持になるもので、私は疎開愚レン隊を一夏招待、これはどうも胡蝶夫人が狙いの筋ではないかと思った。
彼のような坊っちゃんは人に好かれるのが嬉しくて、それを知らぬふり、そんな様子をしてみるのが好きなのだ。
特に人の奥さんが亭主よりもひそかに自分を思ってくれるというようなことを確めて、それとなく素知らぬ素振りでその愛情を弄びいたずらするのが愉しいので、それは趣味上のこと、浮気というようなものではなくて、自ら飛びこんで口説くことなどできやしない。