心臓ゼンソクという奴だ。
それが怖いものだから、海老塚というビッコの医者、これは落魄した遠縁の子弟だが、これに学費を給与して内科を学ばせ、五年ほど前、村へ住居を与えて開業させた。
山中の無医村で開業するには内科だけじゃいけないので、外科も耳鼻科も眼科も、歯科まで一手に兼ねなければならないから、父などはあまり早くよびよせるのは反対で、全科にわたって一応習得させる時間を与える方が村のためだと云うのを、いいえ、私のためによぶ医者ですから、と云って、卒業後研究室に一年ぐらいいただけで強制的によびよせた。