一松の妻女はお由良婆さまとよばれ、歌川多門の実の妹だ。
この人も半病人で、生来の虚弱からヒステリーの気味で、お梶さんとは特別折合いが悪い。
多門という人は特に肉親の情熱などはないけれども、世間並のことならなんでも鵜呑みに気にかけないタチだから、妹一家が疎開する、よかろう、面倒みてやれ、病気になった、よかろう、手当をしてやれ、それだけのことで、大きな家で金も物資もあり自分の邪魔になるところは何一つないから、ちっとも気にかけない。
一松の妻女はお由良婆さまとよばれ、歌川多門の実の妹だ。
この人も半病人で、生来の虚弱からヒステリーの気味で、お梶さんとは特別折合いが悪い。
多門という人は特に肉親の情熱などはないけれども、世間並のことならなんでも鵜呑みに気にかけないタチだから、妹一家が疎開する、よかろう、面倒みてやれ、病気になった、よかろう、手当をしてやれ、それだけのことで、大きな家で金も物資もあり自分の邪魔になるところは何一つないから、ちっとも気にかけない。