それを見て、私がとッさにハッとして、お梶様の下駄を隠し、首の紐も解いて隠して別の縄にスリかえた。
山奥の駐在の当時のことで、縄をといて人口呼吸をしたと云って、難なく言いのがれて自殺ということで通りましたが、秘密は必ずもれるもので、そんな噂が今もって残っているのも、元はといえば私の軽率、まったくのところ、九分九厘まで自殺であろうということを、私はズッと信じていますのじゃ。
お梶様は気性の強い、ヒステリー症の御方であったが、何がさて、痩せて、非力で、人をしめ殺す腕力などのないことは、冷静に考えてみれば誰にも察しのつくことだが、とッさのことで、私は一途に思いこんで、慌てましたのです。