内海先生は石コロだらけの急坂にかかる前に大八車を降り、セムシの危い足で、一足ずつ休んでは降り休んでは降り、相当の時間をつかって、石コロだらけの急坂を辿っておられ、その間に土居先生は易々と先廻りして第一着に歌川家へ戻られたのでありました。
土居先生は表向きこの土地は始めてのことであり、歌川家へ到着して三日目、土地不案内と目せられますために、間道の利用ということから当然除外される位置にあるという、これもメンミツな計画のうちの一つであったに相違ありません。
こうして千草殺しは易々と終り、犯人御両名は危機を脱した筈でしたが、どッこい、晴天のヘキレキと申すべき最大の危機が待ちかまえていました。