然し、それにも一つの不遜な理由を私流に附け加えますなら、皆様が犯人の計画通り、あまりにも表面の事象を盲信しすぎていられた、つまり、土居画伯、あやか夫人、御両名の不和を、絶対の真実と盲信せられて疑うことを忘れていられた、そこに心理の足跡を見逃す根拠も生れたのだと思われます」
弱気の都会人で、自慢のキライな巨勢博士は、自分の広言にいささかテレて面はゆい様子である。
「さて、晴天ヘキレキのピンチにのぞんだ御両名は寸刻の猶予もならず、互に言葉尻をつかんでケンカをはじめ、突如として猛烈な格闘、ブン殴り、掴んでフリ廻し、投げとばし、さらに、あやか夫人は戸外をめざして走り去りました。