幸いに土居画伯の連夜の乱舞によりましてコーヒー茶碗が一ダース余もかけ、そろいの茶碗では満足のものが不足になって、一つだけカケた茶碗がまじることになりましたから、これを利用して筋書をたて、加代子さんと同時に、多門先生を殺害する手筈をととのえ、一馬先生の誕生日を予定しました。
加代子さんはふだんはこの食堂へ来ることのない方ですから、加代子さんのコーヒー茶碗は土居画伯以上にカケたものが当ります。
加代子さんは表向き女中なみの待遇をうけているのですから、外来の方々よりも待遇の落ちるのは自然で、これを利用して、土居画伯がコーヒー茶碗をとりかえてあげる、そのとき例の指の魔術という天才的の妙技によって、毒薬を入れて加代子さんにすすめる。