加代子さんは表向き女中なみの待遇をうけているのですから、外来の方々よりも待遇の落ちるのは自然で、これを利用して、土居画伯がコーヒー茶碗をとりかえてあげる、そのとき例の指の魔術という天才的の妙技によって、毒薬を入れて加代子さんにすすめる。
この妙技を成功させるには、他の人々にも、コーヒー茶碗に毒薬を入れうる可能性をつくっておくことが必要で、これはあやか夫人の役割です。
即ち、あやか夫人は、その頃を見はからって、矢代夫人をさそって便所へ立つ、予想の如く広間にコーヒーが並べられているのを見届けてから、慌てて食堂へきて、便所の窓から庭に怪しい人影を見たと云って、一馬先生、矢代先生、それに私を誘って便所へとって返しました。