先ほども申上げました通り、私は多門加代子殺しの終って後にようやく事件の真相をつきとめることができましたので、それも要するに心理の足跡を発見し得たことによって事件の全貌を推理し得た、というだけのこと、一つとして物的証拠はないのです。
かくなる上は、次の事件を待って現場を押える以外に手はないと思いましたので、土居画伯につきまとっていれば、次の事件の端緒をつかみ得るだろうと狙いをつけて、幸い神山さんと土居画伯が毎日タマツキの賭けに熱中しておられるところから、私も賭けのタマツキに一枚加わることに致したのです。
又しても、これが私の失敗でした。