私が犯罪心理の合理性というのは、こういう人間性の正確なデッサンによるものをいうのであって、探偵小説を愛読して、人間性、合理性という点で裏切られるたびに、ひとつ自分で、ケンランたる大殺人事件を展開させ、犯人の推定をフンキュウさせながら、人間的に完全に合理的な探偵小説を書いてみたいと思うようになっていた。
その探偵小説の人間的な合理性ということを私に教えてくれたのは、先程申した佐藤春夫氏の短篇だったのである。
その意味に於て、完全な正解が四氏もおられたということは、私のかねての目的が達成せられた一証左ではないかと思われ、私はうれしい。