白々明けの戻り道に、きぬぎぬの残り香をなつかしんでいるのであろうか、ねもやらず、縁にたたずみ、朝景色に見惚れている女の姿を垣間見たりなどすることがあると、垣根のもとに忍び寄って、隙見する習いであった。
怪しまれて誰何を受けることがあれば、鶏や鼠のなき声を真似ることも古い習いとなっていたが、時々はまた、お楽しみなことでしたね、などと、通人のものとも見えぬ香しからぬことを言って、満悦だった。
垣根際の叢に、腰の下を露に濡らしてしまうことなど、気にかけたこともないたちだった。
白々明けの戻り道に、きぬぎぬの残り香をなつかしんでいるのであろうか、ねもやらず、縁にたたずみ、朝景色に見惚れている女の姿を垣間見たりなどすることがあると、垣根のもとに忍び寄って、隙見する習いであった。
怪しまれて誰何を受けることがあれば、鶏や鼠のなき声を真似ることも古い習いとなっていたが、時々はまた、お楽しみなことでしたね、などと、通人のものとも見えぬ香しからぬことを言って、満悦だった。
垣根際の叢に、腰の下を露に濡らしてしまうことなど、気にかけたこともないたちだった。