隊を分けて横行したので、都は一夜にその東西に火災を起し、また南北の路上には、貴賤富貴、老幼男女の選り好みなく斬り伏せられているのであった。
そのさまは、魔風の走るにもみえ、人々は怖れ戦いて、夕闇のせまる時刻になると、都大路もすでに通行の人影なく、ただあまたの蝙蝠がたそがれの澱みをわけて飛び交うばかりであった。
恋のほかには余分の思案というものもない平安京の多感な郎子であったけれども、佳人のもとへ通う夜道の危なさには、粋一念の心掛けも、見栄の魔力も、及ばなかった。
隊を分けて横行したので、都は一夜にその東西に火災を起し、また南北の路上には、貴賤富貴、老幼男女の選り好みなく斬り伏せられているのであった。
そのさまは、魔風の走るにもみえ、人々は怖れ戦いて、夕闇のせまる時刻になると、都大路もすでに通行の人影なく、ただあまたの蝙蝠がたそがれの澱みをわけて飛び交うばかりであった。
恋のほかには余分の思案というものもない平安京の多感な郎子であったけれども、佳人のもとへ通う夜道の危なさには、粋一念の心掛けも、見栄の魔力も、及ばなかった。