恋のほかには余分の思案というものもない平安京の多感な郎子であったけれども、佳人のもとへ通う夜道の危なさには、粋一念の心掛けも、見栄の魔力も、及ばなかった。
往昔、花の巴里にも、そのような時があったそうな。
十七世紀のことだから、この物語に比べれば、そう遠くもない昔である。
恋のほかには余分の思案というものもない平安京の多感な郎子であったけれども、佳人のもとへ通う夜道の危なさには、粋一念の心掛けも、見栄の魔力も、及ばなかった。
往昔、花の巴里にも、そのような時があったそうな。
十七世紀のことだから、この物語に比べれば、そう遠くもない昔である。