それゆえ、多感な郎子たちが、心にもあらず、恋人の役を怠りがちであったころ、この人ばかりは、とんと夜道の寂寞を訝りもせず、一夜の幸をあれこれと想い描いて歩くほかには、ついぞ余念に悩むことがないのであった。
一夜、それは夏の夜のことだった。
深草から醍醐へ通う谷あいの径を歩いていると、にわかに鳴神がとどろきはじめた。
それゆえ、多感な郎子たちが、心にもあらず、恋人の役を怠りがちであったころ、この人ばかりは、とんと夜道の寂寞を訝りもせず、一夜の幸をあれこれと想い描いて歩くほかには、ついぞ余念に悩むことがないのであった。
一夜、それは夏の夜のことだった。
深草から醍醐へ通う谷あいの径を歩いていると、にわかに鳴神がとどろきはじめた。